年老いた親御様への献身や貢献も出来ないような人間が会社で組織やチームに献身や貢献ができるとでも?

 世間では、もう骨の髄までしみこむほどに言われている言葉が、『仕事の介護の両立』です。

 この発想をしている限り、両立させられるものも両立させられません。

 中学、高校レベルの勉強とクラブ活動の両立、それと変わらない次元です。

 仕事をオンとオフに分けてしまう発想も、低レベルの次元そのもの。

 この発想のままでは、仕事をしながら、親御様の在宅介護をするのは無理です。

 なぜなら、親御様の在宅介護とは何か?

 その経験から何を学ぶのか?

 そして、その学びを仕事や人生にどうフィードバックすればよいのか?

 そもそも、親御様の介護なんてメンドクセー程度にしか思っていないので、次元の異なる発想ができません。 

 なので、仕事の介護の両立はできません、となるのです。

 かつてのソニーのような、エポックメイキングなカンパニーが消えたのもこれが原因です。

もくじ

あらゆる経験は人生や仕事に還元できる

 日本人であれば、多くの人が知る企業にソニーがあります。

 日本では、不思議なほど未だに学生から人気がある企業ですが、世界からみた今のソニーの評価に、かつての輝きを見る人は皆無に等しいです。

 この嘆かわしさは今に始まったわけではありませんが、それを書くと話が逸れてしまうので割愛するとして、なぜ、ソニーの給料は昔から高額なのか?

 ご存じですか?

 ファウンダーの盛田さんがそうお決めになったのです。

 福利厚生を充実するのではなく、給与を上げることで、仕事で結果を出すのはもちろん、よく遊んでもらう狙いがありました。遊びといっても、ただ遊べばよいというものでありません。一生懸命に仕事をして、遊びも一生懸命。そんなアクティブな日常を通じて、世の趨勢を身体で実感し、これまでにない独自の発想でプロダクト・プランニングしてほしい。

 ウォークマンの開発ストーリは、読むたびに感動するのもこのためであり、そのような思いが込められた給与設定だと聞いています。

 だから、ソニーの給与は昔から高額なのです。

 今に始まった話ではありません。

 ただ、今となっては、そのようなスピリッツは忘れ去れているようです。

 エンターテイメントも創造する側ではなく、消費する側にまわっているだけでは、時間を浪費しているだけです。

 これでは、エポックメイキングなプロダクトやサービスは出てきませんね。

 輝きを失うのも当然です。

 さて、要は、どのような経験も、仕事やビジネスにフィードバックできなければ、その経験の時間は無駄でしかない、というお話ですが、年老いた親御様への在宅介護経験は、この範疇に留まらないのです。

 実は、はるかに超えるのです。

生の亡者は敗者の運命

 ビジネスの世界は、競争です。

 弱肉強食です。

 トレードの世界は、カネの奪い合いです。

 それ以上でも、それ以下でもないのが、本当の姿です。

 表向きは綺麗な言葉が並びますね。

 例えば、投資の世界では、『新NISAで資産形成して、将来に備えよう!』なんて、的外れなフレーズを耳にします。

 2023年あたりでしょうか。

 資産倍増計画などと、どこかの間抜けな総理大臣が言ってましたが、カネの奪い合いの世界で勝ち続けるために、新NISAが役立つとでも本当に思っているのでしょうか?

 50代、60代になってから、長期投資?

 これは、生の亡者の発想です。

 にわか投資家のあなた様が、先にご寿命をお迎えになるのですが、買い仕掛ける際に、ご自身のご寿命など永遠に続くかのようにお考えです。

 株価が4万円を超えるなど、日本のマーケットで株価が最高値をつけているのに、そこからさらに株を買わせようとするプロパガンダは仕方がないとして、それに乗る輩がわんさかといる市中の情景はお笑い番組より笑えます。

 株は、値が下がってから買うものです。

 ビジネスの世界も同じです。

 世界を舞台にして、企業は超大競争を繰り広げています。

 この時、組織内でも切磋琢磨しますが、行き過ぎると世界で戦えません。

 敵国と戦争しているのに、味方同士で生き残りをかけた闘いをしていては、敵国に滅ぼされるだけです。

 しかし、馬鹿なトップは、組織にこれをやらせます。

 成果主義を振りかざすのが良い例です。

 自分が生き残るために、組織やチームの他人は犠牲になれ。

 これが、成果主義の本質であり、これもまた、生の亡者の発想です。

 成果主義を目指す企業ほど、大事な情報や不都合な情報は隠蔽される現実を知らないのです。

 結果、組織は腐敗し、企業は傾きます。

 本質をオブラートに隠して上っ面をとりつくろっているうちは、負けか、奴隷か、他者の養分です。

勝ち続ける極意

 組織は、一致団結が基本です。

 その内部で、不必要に競わせてどうするのでしょうか?

 競わせるべきは、どれほどチームのために自分が献身したのか、貢献したのか、なのです。

 それを見える化して、チーム全員が平等に周知、閲覧、そして活かせるマネジメントこそが、勝ち続けられる組織のあるべき姿です。

 自分にとって不利な情報を隠匿し、上司にアピールする情報はチームメイトに共有しない成果主義とは、真逆の価値観が息づく組織運営精神です。

 では、このスピリッツは、どのように養えばよいでしょうか?

 会社にしがみつかなければ、生きていけない。

 そんな、ライフスタイルを構築している社会人には、まず無理です。

 住宅ローンに、お受験、習い事、塾、自家用車、それにディズニーランドと国内外の家族旅行。

 こんな消費万歳ライフを続けたい人に、失敗を恐れず、チャレンジしてみろと言っても、馬の耳に念仏ですね。

 失敗を恐れるのが、現代に多くみられる社会人です。

 いいですか?

 プロフェッショナルとは、ありとあらゆる失敗を熟知しているから失敗を恐れません。

 失敗を恐れているうちは、実は、成果主義の真逆のスピリッツなど養いようがないのです。

 しかし、そんな失敗恐れ人の面々にも、チャレンジしろ!、と喉元に短剣をつきつけられるようなイベントが発生します。

 それが、年老いた自分の親御様への在宅介護です。

 この経験から、何を仕事にフィードバックすべきかを見出していくべきか。

 この発見と取り組みが、一致団結させて、勝ち続ける組織にするマネジメントそのものになります。

 判らないですか?

 では、判るようにワン・フレーズでお伝えしましょう。

 自分の年老いた親への献身や貢献も出来ないような人間が、会社で組織や、チームへ献身や貢献ができると思いますか?

 そういうことです。

 自分の年老いた親御様への在宅介護は、親御様が命を差し出して、あなたに本当の献身と貢献を教えます。

 もう、数え切れない人に念仏を唱えてきました。でも、高給取りに辞める人なんかいません。

 なぜなら、自分の仕事に責任が無いのです。大なり、小なり、あるプロジェクトを任されたとします。そのプロジェクトが上手くいかなかったとして、事務所の家賃、光熱費、福利厚生費、材料費、人件費、車両費、広告宣伝費・・・、失敗したプロジェクトにかかったこれらの費用を会社から請求された事業部長さん、部長さん、課長さん、っていらっしゃいますか?

 いらっしゃらないはずです。すべて会社が負担します。株主が出資したお金で補填させられます。

 しかも、プロジェクトが上手くいかなかった翌月も給料が支払われるのです。

 そんな社会人の方々に、年老いた自分の親御様への在宅介護がチャンスなどとは決して思えないのが実情です。

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