在宅介護でスイカを育てる≪暮らし≫の楽しみ方

 介護施設のレクリエーションの一環として、畑仕事をやっているといった事例もお聞きします。

 都心では、なかなか難しい取組ですが、一軒家タイプのデイサービス施設では、庭先をつかってプランターでミニトマトを植えるなどの取組もおこなわれています。

 このような取組は、家庭でも可能です。私の在宅介護では、たまたま買ってきたスイカの種がキッチンの排水溝に引っかかり、それが発芽しているのに目をつけ、家族3人で育ててみました。

もくじ

ティッシュペーパー水耕栽培

 在宅介護をしている家庭で野菜を育ててみると、どのような良い影響が家庭内に広がるのか?

 在宅介護で作物を育てる目的は、収穫そのものではなく、その行動による知見と結果を得ることです。

 我が家の場合、たまたまスイカの種から発芽したのを楽しもうとしたのがきっかけに過ぎません。

 その結果、介護が必要な母と、私とパートナーの3人が一緒になって作物を育ててみると、≪暮らし≫の楽しみが非常に広がるのが判りました。

 実施内容は簡単で、ティッシュペーパーに水を含ませて、買ってきたスイカを食べて残った種を、その上に置いたに過ぎません。

 やってみると、おもしろいことに、すぐに発芽します。

 それが、こちら。

 この様子を日々、観察しながら、スイカの成長を家族3人で楽しむわけです。

 3人とも、スイカを育てた経験はありませんから、明日にスイカがどのような成長をするのかを知りません。

 この未知への興味が、3人にとって、とても楽しみになるわけです。

 つまり、各人にとって、≪ 暮らし ≫の一部として溶け込みます。

 ちなみに、このような≪暮らし≫を家族で楽しんでいると、認知症症状は、表面化してこない(もちろん、私の家庭での話に限ってのことです。広くどのご家庭でもそうなるという保証はありません。)のです。

ツルが伸びて、花が咲いて、受粉させます

 スイカは夏場に食べるので、そこから種を発芽させて、秋冬にかけて実がなるのか?

 そんな疑問を抱きつつ、出た芽が成長したのでプランターに植え付けます。

 主に南向きの室内で、太陽が燦燦と降り注ぐ環境で育ててきたのが幸いしたのでしょう。

 その様子が、こちら。

 スイカは雄花と雌花が咲き、雌花に雄花の花粉を受粉させるといよいよスイカの実が成長していきます。

 このような取組を、母と私と家内の3人で≪ 暮らし ≫の流れの中でやるわけです。

 さて、スイカの実がグングンと大きくなるのかなぁ?、と期待はしていましたが、作物として商品化するための種から育てたわけではないので、そこはやはり限界があります。

 大きさとしては、500円玉程度です。

 それを、スマイルカットで、3等分して食べてみます。

 決して、甘みが強いとか、そのような感想はでませんが、スイカの味がすることに3人で喜びます。

 自分たちで作ったスイカですからね、喜びもひとしおなんです。

在宅介護は特別な取組ではありません

 私の在宅介護のある暮らしから、ワンシーンを切り抜いて取り上げてみました。

 切り抜きはしましたが、それはあくまでも暮らしの流れに乗っていますが、これが非常に重要な視点なのです。

 よくニュースや報道で、在宅介護のある家庭の悲惨さが映し出されます。

 確かに、認知症を患った年老いた親御様のお世話が在宅介護であると定義すると、それは過酷になります。

 ニュースや報道により、介護は親のお世話だ、と洗脳されている人も多いのではないでしょうか?

 しかし、その視点は、ものすごく了見が狭いと言わざるをえません。

 というのも、在宅介護の本懐は、親と子で創る最後の無形財産です。

 本当に目指すべき在宅介護のあるべき姿は、認知症をはじめ、どのような病を抱えていたとしても、楽しい≪ 暮らし ≫を創造する。

 ここに尽きるはずです。

 なにも特別なことをしろというのが、在宅介護ではありません。

 この記事にあるように、たまたま排水溝にひっかかったスイカの種が発芽していたのをキッカケにした暮らしの彩りに過ぎません。

 ただ、目の前の状況をどのように発展させるのか?

 常にこの視点を持ち合わせている生き方が重要で、これを≪自由≫と言います。

 そして、自由を使える人が≪ 自由人 ≫です。

 在宅介護は、自由を知らない人にとって、縛られるものではなく、自由へのパスポートだとご理解いただけるはずです。

 強制されるわけではなく、日々の生活の流れの中で自然発生的に生じた≪ 暮らし ≫の楽しみ方である点が注目すべきところです。

 介護施設で行われるレクリエーションは、参加しなくてもよいのですが、半ば強制です。仮に、畑仕事をレクリエーションの一環として取り入れてみて、参加しているご長寿の方が興味をもって取り組めれば、楽しみにもつながります。

 ただ、週に何日か介護施設に通って、その作物が自分が育てる対象となっているかどうかがポイントです。≪自分の≫育てる対象ではなく、仕方なくやるといった取組なっていれば、そのレクリエーションはあまり意味はありません。介護施設のレクリエーションとは、利用者にとって楽しい≪ 暮らし ≫の流れの溶け込んでいなければ、その効用は生じないのです。

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