施設見学を終えると、これまた待遇よく施設の社有車で母と私を自宅まで送り届けてくれます。
でも、これは非常に大切な体験です。というのも、介護の現場で用いられる車内は、デザインが違うのです。要は介護仕様。揺れでケガをしないように手すりが設置されていたりと、よく考えられています。
勉強になりますね。
ただ、初めての介護サービス、初めての介護施設見学です。この施設のお世話になるというので良いのでしょうか?
介護施設見学でチェックすべきところ
介護施設にお世話になるという現実は、契約したらずっとその施設にお世話にならなくてはいけないのかと言えば、違います。
合わなければ、変更が出来ます。
ちなみに、ケアマネジャーも相性の悪さや、仕事品質の悪さが目につけば、担当を変わってもらえます。
ただ、人生で初めて介護サービスを受けるとなると、その良し悪しを見定める基準がありません。
その後、さまざまな種類の介護施設へ見学に行ったり、お世話になったりするので、今では、確固たる基準しかなく、しかも自分が亡くなるまでを想像したとき、現状の介護サービスであれば必要とせず、むしろ次世代の介護サービスはこうあるべきという思想と仕様しかありません。
とはいえ、そのような私の価値観は横に置いておいて、一般的に介護施設に見学に行った時に必ずチェックしなければいけないポイントを2つ紹介しておきましょう。
- ニオイ
いろいろな介護施設に足を運べば、施設建物の見取り図や、サービス提供内容からある程度は想像も出来る要素ではあります。しかし、見学に行かなければ、一発で判るのがニオイです。また、今のネット技術でも伝達できないファクターがニオイです。どれだけウエブページに、若くてにこやかな女性スタッフがひざまずいて、高齢の利用者と楽しそうに話をしているシーンを切り取って掲載していたとしても、ニオイがダメなところは避けなければいけません。
2.細部
個浴という言葉を介護業界では使います。施設で利用者ごとにお風呂に入る環境があれば、個浴があると言います。パナソニックといった国内ユニットバスメーカーも個浴対応のユニットを販売していますね。ここで重要なチェックポイントは、排水溝です。午後に施設見学にいくと、お風呂の見学ができます。というのも、概ね、高齢の利用者の入浴時間は午前中です。なので、お風呂を見せてもらった時は、排水溝をチェックしてください。毎日、ここが掃除されていない施設は、避けたほうが無難です。
実は、他にも見学でチェックすべきポイントがあるのですが、それは改めて、まとめて記事にして公開していきます。
初めてなら基準を作る
母と私が見学にいった介護施設は、他にもトイレの数が豊富であり、そして浴室が大浴場となっていました。
一通り、施設の見学させてもらったのですが、設備にダメが無いのです。
見学した日は、契約するかどうかはひとまず横に置いて、帰宅してから母と相談しました。
ねぇ、お母さん、あそこのデイサービスに行ってみますか・・・?
そうね・・・、行ってみないとよくわからないわよね・・・。
結局、母も私も初めての経験で、選択の基準を持ち合わせていないので、このような状況に陥ります。
ただ、この経験が、今後の介護サービスを選択する基準の礎(いしずえ)となっていきます。
母と私の場合、初めての介護サービスを受けるにあたっては、積極的な推しの理由もなくその介護施設のデイサービス提供を受ける旨を決めました。
そして、その旨を担当のケアマネジャーさんに伝えたところ、次のお言葉をいただきます。
承知しました。それでは、担当者会議を開きましょう。
担当者会議???
なにそれ???
初めての担当者会議
介護サービスを受けるにあたっては、利用する高齢者の人柄、健康といった状況を把握し、また要介護度に応じた国や自治体からの支援を円滑にし、滞りなくサービス提供の授受が行われるために、意識統一的な顔合わせがあります。
これが、担当者会議です。
会議への参加メンバーは、介護サービスの提供をうける高齢者、在宅介護をする家族のうちのキーパーソン、ケアマネ、施設長、相談員といったところです。
介護サービスに詳しくなってくると、いろいろな判りにくい役職があり、初めて接する私としては、そのタイトルでどのような責任を負っているのか、不明だったのを覚えています。
とはいえ、これだけでも総勢5名前後の人達が、集まります。
それも集合場所は、我が家です。
私:おいおい。まじか。そんなに人が来るのか。片づけて、掃除しないといけねーだろ。
実は、この担当者会議というのも、在宅で介護するキーパーソンにとっては負担です。
まず、時間を調整すること。
次に、場所を用意すること。
そして、その会議の開催に合わせて、他の家族のスケジュールを調整し、なおかつ、介護サービスを受ける母の体調を整えておくこと。
介護サービスを受けるのが日常になると判ってくるのですが、実はケアマネも、施設の担当者も、わりと面倒に思っているのがこの担当者会議です。
それもそのはずで、誰もが忙しく、会議参加者全員の日時を合わせるのは、一般企業でも労力がかかるのと同じです。
とはいえ、ここで注意するポイントがあります。
会議に参加されるメンバーのうち、現場で働いている人の態度をよく観察しておく必要があるのです。
たとえば、相談員ですが、現場で介護作業に従事していますから、この人の言動の良し悪しが現場の雰囲気を利用者と利用者家族に教えてくれるのです。
実は、初めての介護施設の見学では、介護施設の設備の見学が主になります。
その現場で働くスタッフの人間性に触れるのは、この担当者会議が最初の入り口になります。
介護施設の見学でチェックすべきポイントに、難易度はありません。
しかし、そこで働くスタッフの人間性を見抜いていく難易度は高いです。初めて見学にいくと判りますが、スタッフは誰もが元気に明るく朗らかに挨拶してくれます。でも、性根までは判らないのです。
介護施設で生じる事件、事故で、設備が起こすトラブルはそう多くありません。しかし、人間関係からトラブルが生じるのです。
介護施設は、実は世の中の人間関係と変わらないものが渦巻いています。実際に、利用者同士でトラブルが生じたり、職員と利用者の間でトラブルが生じるのは当たり前だと思っていた方が健全です。
もし、判らなければ、X(旧ツイッター)で介護現場で働く人たちのつぶやきをご覧になってみるのをお勧めします。
もはや答えは、いわずもがな、なのです。