認知症を患った母の在宅介護をする家庭環境を立ち上げていく上で、最初に家族の結束が出来つつあるなら、外部環境の力を借りられる準備ができたと言えます。
役所の地域包括センターで、介護保険申請をすると、認定調査員が来宅して、母の様子をチェックしてくれます。
認知症のテスト、ベッドからの寝起き、日常生活の自立具合、家族との関係を一通り確認してもらいます。
その後、主治医による所見が記載され、要介護度が通知されます。
地域や申請の混雑具合にもよるようですが、およそ1か月後ぐらいに通知されます。
その上で、もしくは、急ぐのであればその手続きと並行して、ケアマネージャーと出会っていく手続きに入ります。
なぜケアマネは大切なカウンターパートナーなのか
ケアマネージャーは、在宅介護を成功裏に収める上で重要なカウンターパートナーです。
なにしろ、自宅の環境、個人情報、家族の人間関係、病歴、職歴、今日に至る経緯等々、およそ誰にも公開しない情報を伝える必要が出てきます。
なぜなら、在宅介護は、出来る限り公にオープンにするのが最も安全な取り組みになるのです。(より詳細なお話は別記事でアップデートします。)
私も、オープンにする重要性を最初から判っていたわけではないのです。
ただ、知っておいてもらった方が、ケアマネージャーさんも協力しやすいだろうな、という考えから始まったに過ぎません。
実際に、広く日本国内で展開されている介護サービスを受けるというのは、要支援、要介護となれば、日本人であれば誰でも利用できますが、当然の権利だと思っているなら間違いです。
なぜなら、介護サービスを受けるにあたっては、国から介護保険が支給され、介護度に応じた補助が出ます。
個人ですべて負担しようとすれば、介護サービスを十二分に受けるのは多くの人にとって無理があります。
公に介護保険から補助が賄われる以上、介護サービスを受けるのであれば、相互扶助の上に成り立っている現実をよく理解して利用するのが、理性ある人間の態度です。
ですから、介護から逃げる子供がいるのに、親が公的な介護サービスを受けるのであれば、介護から逃げ出した子は、それ相応の費用を負担しなければ、日本中から非難されて当然です。
さて、話を元に戻しますが、ケアマネへの業務費用の支払いも、要支援、要介護となれば、無料で担当してもらえます。
これ、凄いシステムで、当たり前じゃないんですよ。
ですから、キチンとした在宅介護をしなければ、ケアマネさんだって人間ですから、心から在宅介護の協力をしたいなんて思ってくれません。
だからこそ、親の介護について包み隠さず話すのですから、ぜひとも、それを受け止めてくれるケアマネさんと出会い、契約をしなくちゃいかんのです。
生きる上での苦労を知っているケアマネさんと契約してください
私のように十年以上も在宅介護をやり、3人の親を見送り、介護施設でも働いたことがあるなら、ある程度の実務経験のあるケアマネージャーであれば、誰でも問題はありません。
まことに僭越で申し訳ないのですが、事実なのでこう書くしかないのですが、私ぐらいになると、ケアマネが持っている情報以上に、アレコレと情報提供して、私の希望通りに効率的に動いてもらえるようにコラボレーションが出来てしまいます。
しかし、初めてケアマネージャーと契約するならば、いくつかのチェックリストがあるのでご紹介します。
- 辞めない人 | ある程度の規模の組織に所属していれば安心かもしれませんが、介護業界は人の流動性が高いです。職場環境が悪いとか、職場の方針と合わないとかでケアマネを辞めていかれる方も少なくありません。私も経験があるのですが、途中でケアマネが交代となると、確かに次の人に引き継ぐとは言うのですが、それまで培ってきた信頼関係がゼロに帰着します。信頼関係は、紙面の情報で引き継げないのです。
- 悲しみを知っている人 | 若いケアマネさんは、ご両親が健在だったり、配偶者が元気だったり、子供が小さかったりします。そのような人が死別や、その他、大切な人との別れの苦しみを知るわけないですね。身も蓋もない言い方をして申し訳ないのですが、在宅介護は親の死で終わります。つまり、死に向っていくプロセスが在宅介護なのですが、お若い人にこれを理解してるかと聞いたところで、暖簾に腕押しです。
- 口の堅い人 | 派手目のファッションで来訪する人、靴のかかとがつぶれている人は避けましょう。在宅介護のある家庭に伺うのですから、細部の身だしなみ程度も気を遣えないのであれば、こちらが提供する個人情報もザルに扱われます。ケアマネじゃなく、女性の認定調査員だったのですが、全身ブランド品で身を包み、バッグはルイヴィトンのモノグラムの大き目トートに、認知症テストの用紙を入れてきた馬鹿がいます。認知症を患って苦しんでいる人の前に立つ仕事なのですから、了見を疑います。
以上の3つは、最低限、押さえておくと良いです。
紹介の力を利用する
サムネイルにある画像は、実は、ケアマネージャーが所属する企業や施設の名称、住所、電話番号といったリストが、ズラッと書いてあります。
なので、ぼやかしていますが、介護保険申請をしたのちにしばらくして送られてくる資料の一つです。
この一覧にある企業や施設に電話して、ケアマネと契約したい旨を相談しろというのが役所からの指示なのですが、リストは、ゆうに100を超えます。
ホント、お役所仕事だと思うのも、何を基準にどこに電話をすればよいのかなど一切情報が無いのです。
そこにいるケアマネさんの名前、性別、年代ぐらいあっても良さそうなのですが、それもない。
エイ、ヤー、でしか選びようがないのです。
ホント、あほちゃうか、としか思えないのですが、こういう時は、紹介を使います。
地域包括センターには、介護担当のスタッフが詰めているのが一般的ですから、足を運びます。
そこで相談すれば、オススメの企業、施設、担当者を紹介してもらえます。
そのうえで上述の3つのポイントを押さえていけば、より効率的にベストマッチなケアマネさんと出会っていけますね。
私の在宅介護の場合、最初にお世話になったケアマネージャーは、50代ぐらい、経験を十分に積まれた女性でした。
苦労もありながら、お一人でお子様を育てていたようで、その子も結婚するというお話をしてくれました。
ケアマネージャーとは、最低限、月に一度はお会いすることになるので、お互いの家庭の状況や写真を見せ合ったり、実母とそのケアマネさんとで一緒に写真を撮ったりするなど、懇意になっていきます。
あれからもう長い月日が流れましたが、実母の介護について、さまざまに話し合った思い出は忘れないですね。
それぐらい、ケアマネージャーは、重要なカウンターパートナーになる存在です。
その出会いをないがしろにしないでください。