在宅介護家庭のクオリティによって介護サービス環境の質は決まる

 さて、ここまで私の実母が認知症を発症するところから、私のパートナーの協力を得て、在宅介護の始まりの始まりを投稿してきました。

 大事なのは、まず在宅介護を始めるにあたって、パートナーとの仕事、家事、介護の分担を決めること。

 次に大事になってくるのは、認知症を患っていたとしても、親には尊敬の念をもって接し、大切な家族の一員として、話し合う時には常に輪に入ってもらい、役割を担ってもらうことです。

 親の役割といっても、認知症を患っていますから、何か作業を期待するのではなく、存在そのものが重要であることを理解してもらいます。

 これは、認知症を患っていたとしても理解してもらえます。(理由は、いずれ記事にします。)

 そのうえで、介護サービスの導入を決めていくわけですが、できるだけ良いサービスの提供を受けたいのであれば、こうでなければならない、そんな鉄則があるのです。

もくじ

認知症として差別しない

 日常生活は、差別で成り立っています。

 差別とは、自分を中心とした、相対的な比較です。

 地位、カネ、住む場所、国籍、人種、学歴、肌の色、年齢、性別、病気、ハンディキャップ、・・・。

 ありとあらゆる違いを捕まえては、人は常に比較して、世界を成り立たせています。

 自分と同等かな?

 そう思う相手だと、なんとなく馴れ馴れしく接します。

 自分より上かな?

 そう思うと、なんとなく卑下します。

 自分より下だな?

 そう思うと、なんとなくバカにします。

 これが世の中の人間関係の仕組みです。

 在宅介護では、家庭内においては、この人間関係の仕組みを超えるところが出発点です。

 親御様は、認知症を患っているので、ドクター、看護師、介護職員、役所等々で支援の手を差し伸べてくれますが、支援してくれる人達は、あなたの親御様のことは、認知症患者の〇×さん、として接します。

 これは、認知症を患った人にとっては当然ではあるのですが、辛い現実です。

 この記事にあるように、認知症が辛いのではないのです。

 認知症と『言われる』のが辛いのです。

 ですから、家庭内だけは、これを完璧に乗り越えておく必要があるのです。

 たとえ認知症を患っていたとして、親は尊敬に値する親として接する。

 親というのは、相対的に親という言葉が成立たないように、実の子からみて、絶対性の関係しかありません。

 そこに認知症の有無は関係なく、この見地が、世間の差別に基づいた人間関係を超えるのです。

差別のない在宅介護の家庭に外部リソースを導入できる

 介護する子が、親を厄介者だと思っているとします。

 厄介者の親の介護なんかやりたくないと思っていますが、仕方がないので嫌々やっているとします。

 在宅介護のある家の中も、整理整頓はなされずに、掃除も疎かに雑然としています。

 さて、そこへケアマネがやってきました。

 今後の介護サービスを導入していくにあたって、適切な提案ができるでしょうか?

 ここで、あくまでも例として、ケアマネの人間としての本音を想像してみましょう。

ケアマネ

適切な介護サービスといってもね・・・。

もしかすると、高齢者虐待の恐れがあるかもしれない。

でも、親御さんの気持ちとしては、ずっと暮らしてきたこの家に居たいんだろうな。


一方で、施設入所させないと、虐待が始まりかねないしな・・・。

まずは、親御様の安全第一に、介護する子の負担も減らていく方向を考えてみよう。

 親御様の生活支援で、本当に何を必要としているかは見えにくい状況で、そこへ適切な介護サービスを提供するというよりも、安全を第一に考えないといけなくなります。

真剣に在宅介護に取組むから、環境が味方する

 逆に、介護する子が、親に対して尊敬の念をもって接しているとすると、環境は味方するでしょうか?

 それとも敵対するでしょうか?

 答えは、いわずもがなですね。

 私は、家庭でも実母に接する時は、敬語も交じりますが、丁寧語が基本です。

 岳父や、岳母に対しても、お父様、お母様です。

 もちろん、口語では、一般的な話し言葉を使いますが、少しでも相談すべき内容や、大事な話題については、敬語を交えて丁寧語が基本です。

 逆に、子がそのように接してきたら、親としてはどういう心境になると思いますか?

 最近の高齢者も戦後世代が入ってきているので、どうか判りませんが、戦前、戦中、そして戦後を生き抜いてきてくれた親であれば、毅然とした親としての姿勢をしっかりとみせてくれます。

 このような背筋がしっかりと伸びているご家庭にケアマネや介護職員が来宅したら、彼らはどういう心境になると思いますか?

 ナチュラルに、正しい緊張感を持つのが当たり前です。

 このような家庭では、何がどう課題であり、どのような生活支援が必要かは明確になっていますから、しっかりと仕事をしなければいけない、そう思うはずです。

 だからこそ、私が契約してお世話になったケアマネージャーの皆さんは、必要十分な仕事をしてくださいました。

 逆に言えば、そうでなければ、プロとしての示しがつきませんね。

 現在の年老いた親御様の介護環境について、そのクオリティは日々、劣化しているのではないでしょうか。

 例えば、エックスのポストでは、介護職員の利用者に対する愚痴が数多く見受けられます。ハッキリと申し上げますが、やりたくないのであれば、さっさと辞めるべきです。

 ネガティブな気持ちで介護施設の現場に立てば、事故を招くだけです。

 しかし、そうなる原因をつくっているのは、施設にお願いする家族の心のあり様です。

 厄介者を押し付けたいのですよね。

 であれば、介護施設の現場で働く人がどういう心境であろうが文句は言えませんね。

 外部のリソースから協力を得たい時に、絶対に忘れてはいけない鉄則があります。

 在宅介護に限りません。

 それは、こちらが真剣に命かけて取り組まなければ、環境や周囲の協力は絶対に得られません。

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