認知症を介護する家庭の作り方|精神的支柱として頑張ってください

 認知症をはじめ、罹患するさまざまな病に対して、日本の医療と介護の体制は、世界のどの国と比較しても素晴らしいものがあります。

 しかし、自分の親御様にベストな医療と介護の体制は、どう構築すればよいのか。

 この課題に対して正解を出せるのは、介護を担うキーパーソンだけです。

 病院も一か所だけお世話になっているうちは楽ですが、疾患が増え、○○科、××科と診療するセクションが別れて、通院する病院も二か所、三か所と増えてくるのものザラです。

 これからはシステムも進化し、情報共有の在り方も変わってくるとは思いますが、それらの情報を統合し、介護が必要な親御様に対して、誰をどのようにマネジメントして、マッチさせていけばよいのか。

 私の取組の出発点を公開します。

もくじ

まず家族で力を合わせる

 私が在宅介護のキーパーソンとなり、実母と家内の三人で生活をスタートさせました。

 3人で生活していく上で、それぞれがお互いに制限を受けないように、でも、しっかりとお互いに助け合えるようにマネジメントを構築していきます。

 実母は、認知症を患いはしましたが、マネジメントを構築する上で、何をどうするのか3人で共通の認識を持つために、しっかりと話し合いの輪に入ってもらいます。

 認知症は、話している内容について、まったく訳が分からなくなる病気ではありません。

 また、脳に疾患を抱えますが、心が認知症になるというのはありえません。

 この話は、長くなるので本記事では割愛しますが、要は、認知症を患っていたとしても、家族の話し合いの輪に入っていても全く問題は生じないのです。

 もちろん、話し合った内容について、母は忘れてしまうことが普通に生じます。

 だからといって無駄ではないのです。

 キチンと輪に入って話し合いに参加したというのは、覚えているのです。

 このような現象が、なぜ起こるのかについても別記事に譲りますが、実母にとって必要とされている感は、とても≪ 喜び ≫なのです。

 高齢者だろうが、若者だろうが、誰だって周りから必要とされたら、嬉しいのが当たり前ですよね。

 それと同じことです。

 ですから、次のような会話が成立するのです。

さくら

お母さん、あれ~、これ昨日の話し合いで、3人で決めたじゃない。ルールを守ってね。

実母

そうだったね!判った。判った。

 これを何度か繰り返していると、認知症を患っている親であっても、理解ができるようになり、ルールが徐々に出来上がっていき、生活が立ち上がっていきます。

 キーポイントは、≪ 喜び ≫という感情なのです。

 他にも、実母にしかできないお願い事もあり、それについては、繰り返し言葉にして伝えるようにします。

 そこには、当然、実母にとって頼りにされる≪ 喜び ≫があり、次のフレーズを実母には頻回に伝えていました。

さくら

お母さん、我が家の精神的支柱として頑張ってくださいよ。目指せ、100歳ですからね。頑張って生きてください。

実母

判った。頑張るよ!(微笑)

 認知症を患っていたとしても、実母にとって亡くなるその時まで忘れることのないフレーズでした。

年寄りは厄介者扱い

 多くの御家庭では、高齢の親御様は厄介者扱いしかされません。

 嘘でしょ!?、と思うかもしれませんが、本当の話です。

 だから、認知症が悪化して、手に負えなくなります。

 認知症を患っていたとしても、親御様に変わりはありません。

 親を認知症患者としてみるのか。

 それとも、絶対に欠かせない大切な家族の一員としてみるのか。

 私の三度にわたる介護では、親がいかなる病に罹患しようとも、私にとって大切な家族でした。

 岳父、岳母は血がつながっていませんが、その程度のことは全く問題になりません。

 この心なくして、在宅介護は不可能です。

 なぜなら、家庭のマネジメントが成り立たず、在宅介護のある生活は決して立ち上がりません。

 マネジメントとは、在宅介護も仕事も共通して、人を幸せに導く考え方なのです。

環境の力は家族の在宅介護の上に成り立つ

 年老いた親御様の在宅介護を始めるにあたって、出発点として心に留めておいていただきたいのは2点です。

  • まず、親御様を厄介者扱いせず、家族の営みにもしっかりと参加してもらい、絶対に欠かせない精神的支柱として頑張ってもらうこと。
  • キーパーソンが全責任を負うので、パートナーには出来る範疇で協力を仰ぐこと。

 この2点を前提条件として守り、年老いた親御様の在宅介護のある生活が立ち上がり始めたら、いよいよ社会インフラ、環境の力を借りられる準備ができたと言えます。

 多くの人が在宅介護で失敗するのが、いきなり介護サービスを頼もうとします。

 そうではありません。

 まず、在宅介護のある生活を立ち上げていくこと。

 それが軌道に乗り始めて、初めて介護サービスを検討できます。

 なぜなら、認知症と言っても、人それぞれに症状が異なるようにみえます。

 なので、介護サービスを受ける前に、最低限、次は明らかにしておかなければいけません。

  • 家族として、在宅での介護を成功裏に収めるためにどのような考えをもって取り組んでいるのか。
  • 親御様が何が出来て、何が出来なくなっているのか。
  • 家族の日々の生活で、破綻しそうなところはどのようなタイミングと事象で、それを助けるためにどのような外部リソースが必要なのか。

 これらは、介護サービスのみならず、医療サービスを受ける場合でも同じです。

 これらをまとめて、私は、頻繁に≪ 思想 ≫という言葉でよく表現していますが、外部のリソースと言っても、そこには人しか介在しないわけですから、まずその協力してくれる人達にも、在宅介護に対する私の思想を共有してもらう必要があるのです。

 介護に限りませんが、ありとあらゆるプロジェクトにも共通して、中心となる人物、介護の場合はキーパーソンになりますが、キーパーソンが抱く思想の共有がなければ、介護も、その他すべてのプロジェクトは間違いなく成功しません。

 ですから、まず、外部リソースをオーダーする前に、この記事にあるように家庭内の結束、要はチーム作りと、しっかりと機能するチームワーク・マネジメントを立ち上げ、このプロジェクト(この場合は、認知症を患った親御様の在宅介護の完遂)の成功に向けて思想を固める必要があるのです。

 この記事からご理解いただけるように、在宅介護も、プロジェクト運営もまったく変わりはないのです。

 私は、年老いた親御様の在宅介護は、頭のいい人にしかできませんという情報をエックス(旧ツイッター)上で発信しています。

 逆に、在宅介護から逃げ出す人は、所詮、割り当てられた仕事をこなすことが仕事だとしか思えない人ばかりです。

 この現象は、火を見るよりも明らかなのも、この記事からご理解いただけるのではないでしょうか。

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