書籍紹介
書籍名:無常の見方・苦の見方・無我の見方
著 者:アルボムッレ・スマナサーラ
出版社:サンガ新社
読ませてもらって
以前より、サンガ出版より出版されていたこの三冊。
サンガ新社に出版社が生まれ変わり、表装も新たに読みやすい書籍の大きさになって再出版されました。
私にとって三度目の介護となった岳母にも、再出版前の書籍を読んでもらいました。
生前の岳母は、スマナサーラ長老のご著書は、それこそすごい勢いで読破してくれました。
目から鱗の内容に感じてくださったに違いありません。
付箋が付きまくっていましたから。
例えば、≪ 無常の見方 ≫より、岳母が付箋をしっかりとつけてくれたひとつに、【無常を知る人は、子育て上手】というセクションがあります。
岳母の悩みの一つには、やはり親子の関係がありました。
その悩みには、わたしも何時間も、何日もお付合いしてしてきました。
その甲斐あってかどうかはわかりませんが、おそらくは子への愛着と言えば聞こえは良いですが、執着はかなり薄まって最期を迎えていった様子で旅立たれていきました。
いよいよ最期が近づくにつれ、岳母はあれだけ執着した子にさえも会いたいという言葉はなかったぐらいです。
子離れにケジメをつけたのだと思います。
一般的に、無常とか、苦とか、無我と聞くと、仏教で聞く言葉で敬遠したい気持ちも芽生えるかもしれません。
確かに、お釈迦様が発見された真理ですから、難しく思うかもしれませんが、それを難しく教えるのが日本のお坊さんたちかもしれませんね。
実際に、著者が本書で解き明かしてくれる無常・苦・無我は、誰にでも理解でき、誰にでもその深遠な叡智に触れられる内容です。
例えば、上述のセクションにあるように、子育てから無常を発見できるように解き明かしてくれているのです。
つまり、無常・苦・無我の解説書ではないのです。
無常・苦・無我の≪ 見方 ≫の教えなのです。
だから、誰でも無常・苦・無我が、≪ そういうことだったのか! ≫、という目から鱗の体験をするわけです。
そして、より重要なのが、この≪ 見方 ≫というキーワード。
無常・苦・無我を学んでいくと、必ずヴィパッサナー瞑想の実践にたどり着きます。
詳しくは、上記の著書をあたってみてほしいのですが、ヴィパッサナー瞑想のポイントは、≪ 観察 ≫です。
これはあくまも私の勝手な感想でしかありませんが、その観察の助けになるように≪ 見方 ≫という言葉がタイトルになったのではないのかな、と思ってみたりしています。
仏教で聞く言葉でとっつきにくいと思うかもしれませんが、無常・苦・無我を知る前と知った後の人生は見違えるものになる、と私は強くお勧めする三冊です。
学校で習う日本史では、仏教が日本に伝わってきたのが6世紀とされているようですね。
それ以来、ずっと日本にありながら、最も理解が及ばない範疇が私にとっての仏教でした。
特に、無常・苦・無我と聞いて、明確に説明できる人なんて出会ったことすらありませんでした。
どこかのお坊さんにでも聞こうものなら、お説教されるぐらいに思っていましたから。
それぐらい縁の遠い世界だったのが、仏教であり、その教えにある無常・苦・無我でした。
でも、スマナサーラ長老のご著書に出会い、例えば、この記事で紹介している無常・苦・無我を学ぶとき、きっと後悔されると思います。
≪ なんでもっと早くに出会わなかったんだ! クッソ~ ≫と。
これまでに読んできたどんな本よりも、私がおススメしたいご著書です。