認知症の確定診断

 母と私で認知症の確定診断ができる病院へと向かいます。

 どのような検査を行うのか事前に聞いていなかったので、若干の不安がありました。

 名前を呼ばれて、診察室へと母と二人で入ります。虐待があったことを含め、ドクターにこれまでの経緯を説明しました。

 かかりつけ医と違い、初めてお会いするドクターです。

 このドクターが、介護保険申請をする際に医師の所見を書いてくださるので、正確な経緯を説明しなければキチンとした所見につながりません。

 こちらが伝えるべきを伝えなければ、伝わりません。

 他にも、親御様の既往歴を把握しておくのも重要です。正確な日付が判らなくても、何年前に、何の病院で入院したとか、長期静養を必要とした、といったことです。

 この手の情報は、覚えられなければ、常にメモをして持ち歩く癖をつけておきたいところです。

もくじ

まず長谷川式認知症スケール

 紹介状がありますから、それに目を通された上で、改めて長谷川式認知症スケールで症状の確認です。

認知症のドクター

いま、季節はなんでしょうか?

春!(即答)

 実際はとても寒い日が続いており、まだ春は遠いシーズンでしたので、ちょっと外れてしまっていると判断されてしまいました。(実は、この回答には母の後日談があるのですが、それは後述します。)

 他にも、またしても難しいテストが続きます。

 私も、頭の中で、同席しながら母と一緒に挑戦しますが、何の意味も変哲もない絵を覚えさせられて、後ほど答え直すというのがハッキリいって苦痛でしかありません。

 しかも、ドクターとはいえ、初めてお会いする人の前で、そんなテストをやるのです。

 緊張しますよ(笑)。

 母も大変だったでしょう。

 介護する立場になったら、ぜひ体験してみてください。

 ただ結果としては、かかりつけ医の受診時とあまり変わらずのスコアでした。

認知症の確定診断

 今はどのような検査をするのか、また病院ごとに異なるのかは判りませんが、長谷川式認知症スケールのチェックが終わった後に、MRI検査、アイソトープ検査、そして心理検査が行われました。

 MRI検査では、脳の物理的断面を観察します。この病院では過去にも母が受診しており、MRI検査を受けている経緯があります。そのデータと今回の検査データを比較しました。

 結果は、脳の萎縮が明らかに認めらると・・・。

 次に、アイソトープ検査です。結果として、脳においては、ADの疑いが認められる血流とのことでした。

 ADとは、(アルツハイマー型認知症 Alzheimer’s Disease) の頭文字で、医療の現場では、ADとよく言われます。アルツハイマー型認知症になると脳の血流が特有となるため、それを診断の根拠の一つにします。

 最後に、心理検査です。受診にあたっての患者の態度や検査にあたる医療従事者とのコミュニケーションにおける振る舞いも評価されます。認知症の度合いを点数で推し量ります。

 そして、検査結果を総合して、診断がくだされます。

 結果は、この記事のサムネイルにある通りです。

 それでも、認知症は疑いがあるという診断になります。

 ドクターにお聞きしたところ、『疑いがある』とするのは、認知症の場合、実際に解剖して脳を観察してみて初めて認知症だと判る、というご説明でした。それは、亡くなった後にそれこそ解剖してみないと判らないことであり、ご存命のうちは『疑いがある』、となるのだそうです。

帰宅するタクシーの中で

 検査は半日程度で終わります。

 帰りのタクシーで、母との会話です。

さくら

お母さん、タクシー捕まえるまで寒かったじゃない。まだ、春じゃないよね。でも、なんでさっきの検査で、『春』って言ったの?

だって、ついこの前に年賀状が来てたじゃない。そこに初春って書いてあるんだし、もう春に決まってるわよ。

さくら

確かに。そう言われればそうか・・。

 実は、検査に伺ったのは1月の中旬から下旬にかけてのタイミングです。

 母宛の年賀状を渡して、それを見ながらワイワイと母と話して私と楽しい時間を過ごしていましたから、しっかりと初春だというのは判っていてのアンサーだったわけです。

 一般的に、認知症と聞くと絶望されると思います。

 でも、私は、母のこの一言で随分と気が楽になりました。

さくら

認知症って、何とかなるんじゃないのか?

ドクターが最後におっしゃていた言葉も励みになりました。

認知症のドクター

年齢を重ねれば誰でもなりますから、気にしないことです。

 落ち込む気持ちを少しでも力になればとの言葉ですが、結局のところ、認知症の悪化を防ぐには、本人の心意気がとても重要だと云う事に後々になって気づいていきます。

 それは、いずれ記事にアップされていきます。

 そう答えるには、一理ある。

 認知症を患うと自分の子供の名前さえも判らなくなるという話をお聞きするかもしれません。確かに、脳の萎縮が進行すれば、そういう状態になるかもしれません。

 でも、なぜ委縮するのか。また、なぜ進行するのか。もし、認知症が何も判らなくなる病気だとして、では、なぜ、初春だから今は春で構わないと考えて答えられるのか。

 いろいろな疑問が当時、浮かびました。

 なぜなら、短期記憶が失われるのが認知症で、心理検査にはその旨のコメントもあるのです。

 この疑問は、後々の私の認知症研究にも良い影響を与えてくれます。

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