くじけないこと

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書籍紹介

書籍名:くじけないこと

著 者:アルボムッレ・スマナサーラ

出版社:角川SSC新書

読ませていただいて

 なぜ、人はくじけそうになってしまうのか?

 その根本原因へのアプローチを、ブッダの教えから解説してくれる名著です。

 原因が明確になるからこそ、立て直していく道筋も見えてきます。

 著者の書籍とは、実母の在宅介護をなんとか軌道に乗せようと奮闘している頃に出会いました。

 当時は、実母の認知症症状と向き合いながら、健康状態を良好に保つ取組で精一杯の日々を過ごしていました。

 今でこそ、親の在宅介護は当然のように責任を持てます。

 ハッキリと申し上げて、ウエルカムです。

 しかし、当時は自分の置かれた状況から見据える未来に、不安しかありません。

 もしかすると、いまこのページをご覧になっている貴方様の心境と似ているかもしれません。

 認知症を患い、その他の病を抱える実母の面倒を看続けるこの状態が続いてしまったら、生活は破綻する。

 そんな不安に苛まれていたとき、帯を見て思いました。

 「自分だけじゃないんだな、きっと。」

 ページをめくっていくと、語られる内容はこれまで培ってきた価値観という名の自分の殻を割ってくれる内容に安堵したのを覚えています。

 誰でもへこみ、くじけそうになりながら生きているのがデフォルト。

 かつての自分は、それではいけないと、自らを自らで叱咤激励している日々の連続でした。

 しかし、どうにもならない状況に誰もが例外なく遭遇します。

 誰でも、自分の持てる全てのパイやツールを使い果たしても好転させられない現実に直面します。

 その時、それが当たり前のことと捉え、まさに絶望に瀕した状況に対応する強かさを発揮するにはどうすれば良いのか?

 その学びのエッセンスが詰まっています。

 例えば、在宅介護を例にとって、考えてみましょう。

 その責任を担えば、在宅介護のある生活は、経済的にも精神的にも肉体的にも難しい状況に追い込まれてしまうのは当然です。

 しかし、その大変さから決して逃げずに、日々、この瞬間に生じる課題にベストを尽くして解決していく。

 強制的にそうせざるを得ないのが在宅介護の現実ですから、その逆境を避けようがありません。

 しかし、その逆境が良いのです。

 なぜなら、在宅介護は、いま、その時において、人の理性をフルに回転せしめるシチュエーションです。

 人が理性をフルに発揮する時、困難な状況は打破されるだけでなく、その状況は飛躍の礎だったと気づかされます。

 今を生きる力が、自然と身についていきます。

 在宅介護の状況で逆境を感じている人だけに限らないですね。

 生きる上での困難さや逆境を当たり前のこととして捉えられ、それを当然のように乗り越えていきたい人におススメの一冊です。

 次の状況にある人にお勧めです。
  在宅介護を始めてみて、困難さに直面している。
  いつまで在宅介護が続くのか、不安に苛まれている。
  漠然と、在宅介護をしなくてはいけない未来を避けたいと思っている。 

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